IT業界に入るまでは特に意識していませんでしたが、Sierは多重下請け構造になっていますよね。元請と下請という立場の違いだけで、同じ仕事をしていても待遇や給料が違うことさえあります。
今回は、IT業界の多重下請け構造とその問題についてまとめてみました。
目次
IT業界の多重下請け構造が作られる理由
多重下請け構造が作られる理由は、「工程に応じた要員の確保」と「利益の捻出」の2つです。
工程に応じた要員の確保
ご存知の通り、システム開発には「要件定義、設計、開発、テスト」と下流工程に行くほど要員が必要になります。
下流工程では、元請け1社だけでは要員を賄いきれません。
要件定義は自社だけで賄えたが、設計・開発では更に人員が必要となる。
では、どうするか。
下請け会社に発注するという流れですね。
プログラミングや単体テストでは更に人員が必要となるため、下請け会社は孫請け会社・フリーランスに発注することになります。
単価の安い人員を使うことで利益の捻出
また、利益捻出を目的に下請けに発注することもあります。
要件定義などの上流工程に比べると、プログラミングや単体テストは非常に安い単価です。
「自社の技術力の空洞化を防ぐ」と元請の大手のシステム会社は謳っていますが、実際は、安い仕事を自社でこなしすぎると赤字になります。
ですから、安い単価の下請け会社に発注し費用を浮かせるようにします。
元請と下請けSierの格差(待遇、職場環境)
「発注元のユーザー企業→元請→下請→孫請」の多重下請け構造ですが、下請にいくほど、給料などの待遇や仕事環境も悪くなります。
給料 30代で130万円の差になることも
20代のうちは大きな差はありません。
しかし、これが30代にもなると130万円の差になります。
年代別にみると、20代前半では大きな開きがないどころか、1次下請けが顧客企業を上回ってさえいるが、年代を経るごとに格差が開いていく。
30代前半では顧客企業と3次下請け企業との差は138万円にも達する。
IT業界の給与格差を探る!元請と下請でいくら違う? - Tech総研修
下請け、孫請けと下に行けばいくほど給料は下がります。
下請けSEはキャリアアップに繋がる仕事が難しいことも
下請けSEは技術力の向上やキャリアアップも難しい面があります。
スキルアップにつながる仕事は元請が取り、単純作業を下請けに流すからです。
若手のうちには大きなスキルの差がないでしょう。
ですが、プロジェクトのリーダー経験、エンドユーザーとの打ち合わせ、システムの企画段階からの参画、協力会社の管理。
業務の差が大きな差となります。
年次が上がると「プロジェクト管理能力や折衝能力など」、エンジニアがキャリアアップに必要なマネジメント能力を身に着ける機会を失うことになります。
IT業界の多重下請け構造から抜け出す難しさ
これまでIT業界の多重下請け構造の説明してきましたが、一番の問題は「IT業界の多重下請け構造から抜け出す難しさ」ではないでしょうか。
システム開発において「IT業界の多重下請け構造」は必ずと言って良いほどあります。
元請けや発注側である社内SEに行こうとしても、下請けSEとして何年間も仕事をするほど、元請との経験の違いが広がるばかりで、キャリアアップさえ難しくなってしまいます。
IT業界の多重下請け構造に嫌気が指してきているなら、早めに行動を起こしたほうが良いでしょう。